働く前に「自分を知ろう」と休学し東北へ。自分がやりたいことだけを追求する先に見えた「自分」の姿。

「休学」と聞くと、海外留学を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?

確かに海外留学を理由に休学する人は多いですが、実は国内でも休学しながら学べるところはたくさんあります。

今回のゲストのみさきさんも休学を国内で過ごした一人です。みさきさんは休学期間を岩手県陸前高田市広田町で過ごしながら、自分のやりたいことをとにかくやってみる時間にしたそう。

みさきさんがやりたいことをどんどん実践する中で見えた学びとは?

<見目美咲希さんプロフィール>

大学4年生の春学期に半年間休学する。休学中は陸前高田市広田町で自分の生き方を模索する「Change Makers’ College」に参加。自分のやりたいことをしながら、自分を見つめ直す期間となった。

(プログラム参加者と撮った写真。一番右にいるのがみさきさん。)

自分のこともよく知らないのに、自分を大切には出来ないと思った。

ーみさきさん今日はよろしくお願いします!早速ですが、みさきさんは「Change Makers’ College」に参加するために休学したと伺いました。なぜこのプログラムに参加したいと思ったんですか?

 自分をちゃんと知る時間が欲しいと思ったからです。Change Makers’ College(以下CMC)は広田町で4か月間シェアハウスで過ごしながら、自分の生き方を模索するプログラムです。私は元々CMCを運営しているNPO法人SETの別のプログラムに参加していて、CMCのことは知っていました。それで、私が広田町を訪れた時、CMCの参加者が広田町を訪れた人にご飯をふるまったり、自分のやりたいことを実践している姿を見かけて、のびのびと自分の生き方を探求している姿がすごく楽しそうだったんです。

 私も3年生になり、就職を意識するようになった時、自分のことも分かっていないのに働いてしまうと、働くことを通して自分を大切にできない気がして、不安に感じました。なので、その前に自分を知る時間が欲しいと思い、CMCに参加することにしました。

ーなるほど。休学すると決めた時、ご両親とかに反対されませんでしたか?

 両親の中に「休学する」という選択肢がなかったようで、最初はすごく驚かれ、「なんで休学するの?」とか「休学して意味あるの?」とは聞かれました。でも、私がこのプログラムに行く意味と理由をしっかり伝え続けたら、受け入れてくれました。

ーみさきさん自身は休学に抵抗感はなかったですか?

 めっちゃありました(笑)。私はもともと固定観念が強い方だから、自分の人生にブランクを開けることに漠然とした恐怖感がありました。だから、入学当初は4年で卒業することしか考えていなかったです。でも、SETの活動に出会ったことで、その固定観念も変化しました。SETに関わっている人は自分の判断軸を持っていて、休学したり、退学しながらも自分のペースで生きている人がたくさんいました。その姿を見て、私も自分のペースで生きていけはいいんじゃないかって思うようになり、休学に対する抵抗感もなくなりました。SETとの出会いが、自分が休学に踏み切れた大きな要因だと思います。

自分のやりたいことをひたすら尊重した休学期間

ー実際に休学してみてどうでしたか?

 すごく楽しかったし、学びが多い時間でした。私の休学の目的は「自分のことを知る」だったので、「~しなければならない」ではなく「~したい」で動きたいと思っていました。なので、CMCでは「自分のやりたいことしかやらない日」を意図的に作って過ごしてみたんです。すると、私の生活リズムが食べて、寝て、歌って…っていうシンプルな生活になり(笑)、すごく心地よかったんです。日々暮らしていく中で、食べて寝ることはだれでも好きなことだと思うけど(笑)、私は歌うことも好きだったんだと気づいたんです。

ーシンプルだけど素敵な気づきですね。自分の好きなことってワークシートから見いだせるものもあるけど、実は暮らしの中にあって、見えなくなっているだけだったりする。

 そうなんですよね。自分の好きなことが歌うことだって気づいて、よく歌っていたらシェアメイトがすごく楽しそうに聞いてくれて。「みさきの歌すごく好き。私がみさきのファン1号になるよ!」と言ってくれたんです。私は誰のためにでもなく、自分がやりたいからやっていることだけで、心を動かしてくれる人がいるんだなと知って、すごく嬉しかった。今までは誰かのために出来ることがすごくいい行動だと思っていたけど、自分のやりたいことをやっていたら、自然と誰かのためになっていることもあると気づけたのは大きな学びでした。

ーすごく素敵ですね。休学して自分の考え方に変化とかはありましたか?

 そうですね…。自分のことを受け入れることが出来たと思います。休学する前は、自分のことが嫌いでした。というのも、私がリーダーとしてチームで活動することがあったのですが、途中でメンバーが辞めてしまったりして、上手くいかなかったんです。それで、自分が社会のために何かやろうしていることも、誰かにとっては迷惑になっているのかもしれないと感じて、自分は社会の役に立たない人間なのかと自分のことが嫌いになっていました。

 でも、CMCに参加する中で、自分をいろんな側面から見ることが出来ました。例えば、私は何か挑戦する時にリスクを先に考えてしまい、挑戦するのに時間がかかります。一方で、私の周りにはリスクも恐れず挑戦する人が多かったし、私もそういう人に憧れて、そうなれない自分がすごく嫌いでしたでも、自分と向き合ってみて、安定志向なのは臆病だからではなく、いつか幸せになりたいからリスクのことも考えているんだと気づきました。幸せへのアプローチって人それぞれだし、スピードも違う。私の場合は安定志向で、堅実に進むからこそできる幸せの形もあるんだろうと考え方を変化することが出来ました。

 休学期間に自分をいろんな角度から見れたことで、自分の行動は自分のことを考えて起こっていることなんだと気づいて、ちゃんと受け止めることが出来た気がします。

ーちゃんと自分の声に向き合えたからこそ見えた自分の姿ですね。素敵です。

自分を知るのに大学4年間は短すぎる

ー今までみさきさんの休学期間を振り返ってきましたが、みさきさんにとって休学期間はどんな時間でしたか?

 自分のなりたい姿に全力で向き合える時間だったと思います。学生生活をしていると、授業の課題など、やらないといけないことが多いじゃないですか。さらに、自分がやりたいことをやっていると思っていても、実は将来への不安とか、他人からの期待が影響して、本当は自分のやりたい選択肢ではないことも多いと思います。

 でも、休学期間は休学中にやらないといけないことなんて何もないので、本当に自分がやりたいことに素直になれるし、自分のなりたい姿に向かって全力で進むことが出来る。自分のためにすべてを捧げられるので、これからの人生にちゃんと影響する学びをたくさん得られたなと思います。

ーすごく素敵ですね。最後に、休学を迷っている人たちにメッセージをお願いします。

 迷っている人にか…。確かに、休学すると就職どうなるんだろうとか、友達がいなくなる不安とかはあると思います。でも、正直それが不安に感じるのなら、休学は無理にしなくてもいいんじゃないかと思います。休学はあくまでも選択肢なので。

 でも、私は大学4年間の中で、自分のことを知るには短すぎると感じたし、休学期間は今まで自分が抱えていたいろんなしがらみや価値観を一旦おいて過ごせる期間です。だから、もし今の状況に何か違和感を感じているのなら、止まってでも大切にしたいものがあるのなら、ちょっと勇気をもって挑戦してみてほしいなと思います。

ー休学は自分の違和感や大切にしたいものを尊重できる期間なのかもしれませんね。今日はありがとうございました!

 こちらこそ、ありがとうございました。

(プログラムに参加した仲間たちと。卒業式にて。)

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