学校で学べることは何でしょうか?
各教科の専門的なこと、受験に向けた対策、大学では就職活動に向けた対策…。学校では「知識」はたくさん教えてもらえるけれど、「人生のヒント」はなかなか得られにくい場所なのかもしれません。
今回インタビューに答えてくれた齋藤哲平さんは、学校の先生を目指している最中、自分の狭い世界に違和感を感じ、休学。休学中に赴いたオーストラリアで自分の人生においてのヒントを見つけます。
てつさんが見つけた、学校では教えられない人生のヒントとは?
<齋藤哲平さんプロフィール>
神奈川県出身。教員志望で横浜国立大学教育人間科学部に入るが、いろいろあって4年生の秋学期にに休学。オーストラリアのブリスベンへ留学した。好きなものは麻雀とポケモン。最近はなかやまきんに君のYouTubeのトレーニング動画が日課。
世の中を知らないまま先生になる…?
―てつさん今日はよろしくお願いします!早速ですが、てつさんは4年生の秋に休学されたと伺いました。なぜ休学しようと思ったんですか?
簡単に言うと、大学が楽しすぎたからです(笑)。僕は教員を目指していましたが、教員は就職活動と違って、ちゃんと勉強すれば資格も取れるし、先生になれる可能性が高い。だから、大学で就活に向けて何かするとか、将来のことを考える機会がありませんでした。サークル活動に明け暮れ、気が付いたら4年生になっていて、ふと「このままで大丈夫かな?」と思ったんです。
―充実した大学生活を送っていて、将来も固まっていて、全然大丈夫な気がしますが…。
「先生」にはなれるけど、「面白い先生」にはなれないと思ったんです。僕は数学の先生を目指していて、当時の状態でも数学は教えられたと思います。だけど、先生が教えることはそれだけではないと思います。学校の外にある社会のこととか、人生のこととか、教科以外のことも教えられるのが先生だと思います。だけど、社会人経験がない自分だと、そういうことは教えられない。それなら、一旦社会でいろんなことを経験してから、先生になることも悪くないなと思いました。だから、先生になるのかも含めて、将来のことを考える時間がほしいと思い、休学することにしました。
―休学中はオーストラリアに留学したと伺いました。留学先をオーストラリアにしたのはなぜですか?
せっかく休学するなら海外に行ってみたいと思い、これから使う可能性が高い英語が公用語の国で探しました。僕が留学する時期は日本が秋から冬だったので、その時期が夏になるオーストラリアが過ごしやすいのではと思い、オーストラリアに決めました。
ー確かに!自分の過ごしやすいところを選ぶの重要ですよね。
音楽に、麻雀に、サーフィンに…。とにかく好きなことに熱中した留学期間
―休学中は何をされていたんですか?
語学学校に通って英語を勉強していました。そして、週末やお休みの日はとにかく遊んでいましたね(笑)。休学期間は、将来のことについてじっくり考えることが目的だったので、英語の勉強をほどほどにしながら、とにかくいろんな人と遊んでいました(笑)。
―具体的には何をして遊んでいたんですか?
カジノやサーフィン、麻雀や音楽のセッションなど、とにかく興味のあることをしていました。カジノやサーフィンはやったことがなかったので、語学学校の友達に連れて行ってもらいました。麻雀はもともと好きでよくやっていたんですが、偶然オーストラリア在住の日本人が麻雀好きを集めてシェアハウスをしているという情報を聞いて(笑)、そのコミュニティでよくプレーしていました。
―麻雀好きが集まるシェアハウス…面白そうですね…(笑)
オーストラリアで自分の好きな麻雀をこれだけ出来ると思っていなかったので、とてもうれしかったです。自分の留学経験は語学学校よりも、こうした遊びから学ぶことがとても多かったと思います。
ー遊びから学ぶことが多いって面白いですね。どんな学びがありましたか?
自分の生きる選択肢がすごく増えました。今までは、将来は教員になるか、大手企業の内定を勝ち取って、キャリアを進んでいくことが美しいことだと思っていました。でも、自分がオーストラリアで出会った日本人のみなさんは、ワーホリでアルバイトをしながらゆったり旅をしていたり、現地の人と結婚して永住権も得て暮らしていたり、日本語学校の先生をしていたり…と、今まで自分が知らなかった生き方をしていて、とても楽しそうでした。その姿を見て、自分が見ていたキャリアや生き方はすごく狭い考え方だったんだと痛感しました。それから、将来は「自分が面白いと思うことをやってみる」というシンプルな考えに変化しましたね。
ーてつさんが求めていた将来に向けてのヒントが得られたんですね。
そうですね。あと、オーストラリアが僕の帰ってこれる場所になったこともすごく大きかったです。一緒に遊んだ人たちが、帰国する時に「いつでも帰ってきてね!」とか「ここでお嫁さん貰って、一緒に住もうよ」って言ってくれて(笑)。もし、日本で上手くいかなくても、またオーストラリアに戻ってきたらいいと思いました。自分の中で生き方の選択肢がたくさん増えたことで、落ち着いて将来のことを考えられるようになりました。そういう意味でも、この留学を通して外国の人だけでなく「オーストラリアにいる日本人」とたくさん出会えたことがとても良かったと思っています。
楽しいと思うことに熱中する時間は無駄じゃない。必ず何かに繋がっている。
ー将来のヒントを得て、帰国後はどうされたんですか?
教員にはならず、就職活動をしました。自分が好きなゲーム会社を中心に就職活動をして、今はご縁があった会社で働いています。
―教員ではない選択をしたのはなぜでしょう?
オーストラリアに行って、「将来は自分が面白いことをやってみよう」という考え方に変化したからです。自分にとって今面白いと思うのは、教員になることではなく、自分が好きなことに関われる仕事をすることでした。もちろん教員も面白い職業ですが、それ以上に辛いこともありそうで。甘いと言われるかもしれませんが、やりたくないことをなるべくやらなくていい道を選んでみようと考えました。今は麻雀関係の仕事をしていますが、すごく楽しいし、充実した日々を送っています。
ーすごく素敵ですね。逆に休学で失ったことはありますか?
友達との時間ですかね。僕は4年生の秋に休学したので、同級生との最後の時間を一緒に過ごすことが出来ませんでした。オーストラリアに行っていろんなことを学べたし、世界が広がったのはすごくよかったですが、もう少し早く行ってもよかったかなと思うことはあります。
―休学のタイミングってすごく難しいですよね。
でも、自分は4年サークル活動に熱中したからこそ、大切な友達も出来たし、得られたこともたくさんあるので、全然後悔していません。
―最後に、休学を迷っている方に向けてメッセージをお願いします。
休学はお金も時間もかかることなので、すごく勇気のいることだと思います。だけど、それ以上にいろんな世界や、価値観に出会うことが出来ます。休学はインターンでも、留学でも、好きなことにただ没頭することでも、絶対いい経験になるはずです。これは僕の持論ですが、大学4年間は短すぎるので(笑)、今の自分を精一杯楽しめる選択をしてほしいです。今の自分は今しかないので!
―今の自分を楽しめる選択。休学に関わらず大切にしたいことですよね。今日は素敵なお話をありがとうございました。
こちらこそ、とても楽しかったです!ありがとうございました。
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