休学を考えるきっかけってどんなことがあるのでしょうか?
誰かのふとした言葉だったり、何気に見ていたネット記事だったり、自分の何気ない違和感だったり。
情報が溢れている現代で、きっかけは無限に転がっているのかもしれません。
今回のゲストであるひかるさんが休学を意識したきっかけは「本」だったそう。
ひかるさんは1冊の本から「幸せってなんだろう?」という問いを見つけ、その問いを見つめながら1年間いろんなところを訪れました。
「幸せ」を追い求めた先に、ひかるさんが得た学びとは?
<保科光亨さんプロフィール>
神奈川県出身。「デンマークと広田町に住みたい!」という想いから、3年生の春から1年休学し、陸前高田市広田町で行われているChange Makers’Collegeに参加。その後デンマークに4か月滞在し、オランダやスイスなどヨーロッパ諸国を回った後、帰国。
1冊の本の出会いから、休学へ。
ーひかるさん今日はよろしくお願いします!ひかるさんが休学を考えたきっかけから伺えればと思います!
よろしくお願いします!僕はもともと中高生向け教育プロジェクトのリーダーをしていました。でも、プロジェクトがうまくいかず、とにかく周りの意見を取り入れようと、フィードバックをたくさんもらっていました。すると、いつも周りの反応を気にして、自分がどうしたいのかわからなくなり、精神的に落ち込んでしまったんです。要するに、自分に自信を無くしてしまったんですね。
そんな時、唯一テンションが上がったことがデンマークの話題でした。
ーえ、デンマークですか?
そう。僕本屋さんを回りながら、背表紙だけ見て本を選ぶのが好きで。それで、当時たまたま見つけたのが「幸せってなんだっけ?」という本でした。その本はなぜデンマークが「幸せの国」なのかについて書かれている本で、数十ページ読んだところで「デンマークすごい!」って感動したんです。僕はその時にデンマークのことを初めて知って、デンマークに住んで「デンマークの幸せ」を学びたい!心の底から思いました。それで、落ち込んでいた自分を立て直すために休学してデンマークに行こうと思いました。
ー1冊の本がきっかけで休学を決意したんですね。面白い。
この本の影響は大きかったですね。あと、自分が関わっていた広田町にも住みたいと思っていたので、広田町で行われているChange Makers’ Collegeにも参加することにしました。この本がなかったらデンマークのことを知ることもなかったし、すごく不思議な出会いだったなと思います。
ーひかるさんは教育学部ですが、教育学部って必修が多く、実習もあるので休学しにくいイメージがあります。勉強面で休学しにくいことはなかったですか?
確かに、僕の大学はほとんどの授業が必修で埋まってしまうくらい多いです(笑)。でも、僕の大学の場合は、学年ごとで何を受けたらいいのか決まっていたので、春から休学すればややこしいことにはならなかったですね。
ーひかるさんは休学に対して抵抗感はありませんでしたか?
抵抗感はなかったですが、「休学者=意識高い系」というイメージはありました。周りに休学している人があまりいなかったし、4年で卒業しないといけない風潮は色濃く残っていたので、入学当初から休学しよう!とは思っていませんでした。でも、当時の自分の状態を考えた時、今の苦しさを打開するためにはデンマークと広田町に行くしかない!と思っていたので、休学は自然に決断できました。
ーなるほど。目的が見つかれば、休学は自然とできるのかもしれませんね。
デンマークを放浪し、気づいた「幸せ」に対する姿勢
ー休学中は具体的に何をしていたんですか?
最初は陸前高田市広田町で行われている「Change Makers’ College」というプログラムに参加しました。その後デンマークに4か月くらい滞在して、ヨーロッパ諸国を少し回って…。みたいな感じですね。
ーデンマークに滞在したといっても、学校に行っていたわけではないんですよね。どうやって4か月すごしていたんですか?
簡単に言うと放浪してたって感じですね(笑)。最初の1か月半はworkawayという、カフェを開業しようとしてる小さな農場に、ボランティアとして滞在しました。カフェで料理を作ったり、鶏の餌やりをして楽しかったけど、一緒に働いている人の大半がデンマーク人ではなかったので、デンマークのライフスタイルをあまり体感できていないと感じました。だからカフェを出て、カウチサーフィンでデンマーク人のお家に無料で泊まらせてもらったり、ヒッチハイクをしてデンマーク人と話しながら、デンマーク中を転々としました。
ーすごいですね…。デンマークを放浪する中で印象的だったことはありますか?
たくさんありますね…(笑)。でも、特に印象的だったのはヒッチハイクで同じ人に2回乗せてもらったことかな。1度乗せてくれた人が「今から会議だからここで下ろすね」と言って下ろしてくれて、そこで1時間くらいヒッチハイクしてたんですけど、次の人が全く見つかりませんでした。すると、さっき乗せてくれた人が帰ってきてくれて「もう仕事する気がなくなったから、今日は仕事を切り上げて君の行きたいところまでのせていくよ」と再び僕を乗せて、100キロくらい先の目的地まで届けてくれたんです。
ーえ!仕事切り上げてまで乗せてくれるのすごく優しいですね。
そうですね。でも、彼らは無理して自分を助けてくれた感じでは全くなくて。自分が仕事をする気になれなくて、たまたまヒッチハイカーがいたからドライブでもしようかなという感じで乗せてくれて。デンマーク特有の「余白のライフスタイル」を体感しましたね。
実は、デンマークでヒッチハイクが成功しやすい時間は13~14時くらいなんです。その時間帯は早めに仕事を切り上げて、昼から予定のない「余白を持っている人」がすごく多い印象でした。僕は日本でもヒッチハイクをしてましたが、その時は大体社用車で仕事の合間に乗せてくれることが多かったので、すごくカルチャーショックでした。
ーすごく面白いですね。仕事優先じゃないデンマークのライフスタイルというか。
そうそう。日本では「人生=仕事」と捉えてしまうことが多いですが、実はそうではない。人生の中に仕事があって、家庭もあって、健康もある。そうやって人生をより大きくとらえて考えることはすごく大事だなと学びましたね。
僕はデンマークの「幸せ観」を学びたくてデンマークに行って、ライフスタイルを観察してきました。でも、デンマークに行ってみて、デンマークにある「幸せ観」を自分に取り込んだところで、自分の幸せに繋がるわけではないことを学びました。デンマーク人にはデンマーク人の幸せがあるし、日本人には日本人の幸せがあります。もっと言うと、自分には自分なりの幸せがある。だから、デンマークでは「幸せの形」というよりも、デンマーク人が自分の幸せを模索する「姿勢」をすごく学んだ気がしています。
ー「幸せの国」デンマークで学んだのは、幸せの正解ではなく、自分で幸せを作っていく姿勢だったんですね。素敵です。
自分の人生の主役は自分。自分で選択できることを学んだのが休学期間だった。
ーここまでひかるさんの休学期間を振り返ってきましたが、今振り返ってどうですか?
休学期間は「人生の主役が自分である」ことに気づいた期間だったと思います。
ー「人生の主役は自分である」かあ…。
自分の人生を振り返ると、小学生の頃は自分の人生を楽しんでいたけど、中学校から休学するまではいろんな目線やルールに従っていて、自分は人生の端っこにいた気がしています。
でも、休学期間は何もかもが自分で選べる期間です。何をするのか、どこで過ごすのか、何をしないのか、すべて自分で決められる。そうやって自分で選択することを体験して、自分の人生は自分で選択することが醍醐味じゃないかなと気づきました。休学期間のおかげで、自分の人生をちゃんと自分の真ん中に取り戻せた気がするし、それが自分の理想の在り方なんだと気づくことが出来ました。
ー理想の在り方か。働く前にそれがわかるってすごくいいですね。
そうですね。休学中の経験があったから、今は理想の状態に近づくために自分の状態をチェックしたり、自分を奮い立たせたりできている。自分の理想の在り方を知れたことで、あまり落ち込まなくなったと思います。
ー素敵ですね。最後に休学を迷っている人に向けて、メッセージをお願いします!
休学を迷っていて、その理由が「周りに休学している人が少ないから」という理由だったらすごくもったいないなと思います。休学期間は自分がやりたいことに没頭できる期間だから、自分の人生にとっても大きな投資になる期間だと思います。だから、ぜひ挑戦してみてほしいなと思います。
ー「人生の投資になる。」すごくいい言葉ですね。すぐに成果が出来るわけじゃないけど、人生という大きな時間で見ると休学はすごく貴重な機会かもしれませんね。今日はありがとうございました!
こちらこそ!ありがとうございました!
【休学経験者とはなそう】
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みなさん 優しく、話しやすい方です。
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”完全に確かな情報”は得にくく、”全ての人に当てはまる絶対的な正解”はどこにもない、自分の生き方にまつわることだからこそ、その中の1つの選択肢としての”休学”について、はなしてみませんか。
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